カンブリア宮殿で中央タクシーの回を見た。
とにかく驚いたのは、
タクシー未経験者を積極採用という点。
今は亡き父はタクシー運転手だったが、
仕事の話しを聞くと、絶対経験が無きゃ使い物にならないのがすぐ分かった。
地元が市ヶ谷だったのだが、
例えば、お客さんを品川に運ぶとする。
大抵の市ヶ谷の人は市ヶ谷から品川の道のりなんて楽勝だ。
でもタクシーの場合は違う。
発車地の市ヶ谷を起点とするケースなんて1日2回以上あるかないか。
品川を中心に東西南北の地図がぱっと浮かぶかが勝負。
地図上で360度どこから向かっても品川に行けるようにならなきゃ使い物にならない。
客は、プロだろうが素人だろうが関係ない。
とにかく急いでいるからタクシーを使う。
すると、転職するにしても経験があるかどうかは凄いネックなのである。
でも、そんな当たり前がある中、
中央タクシーは未経験者を選ぶ。
これは本当に驚く。
WEB業界で言えば、
経験の無いデザイナーやプログラマーを積極採用という事だ。
正直、プロセスをイメージしただけでも疲れる。
でも、よく考えると、
どの業界も一流企業のほとんどは新卒採用にこだわる。
頭脳を司る経営陣の一部は中途採用でも良いが、
言葉は悪いが下っ端は
正直、他社を経験した中間管理職以下の人間や職人は不要。
そういった現状を見てきて、
正直、ただ上層部がコントロールしたいだけかと思っていた。
日本ならではの悪しき習慣とさえ思っていたが、
長野タクシーの採用方法に本質があるのかもと感じた。
それは、イノベーションだ。
イノベーションというとカッコよすぎだが、
業界の当たり前を持っていないから、出てくる小さな変革でいい。
例えば、中央タクシーで言えば、効率が悪すぎるほどのサービス。
ハートフルカードといった、業界経験者であるほど嫌がりそうなシステムなど。
効率の良い仕事の方法というのは、
経験で培われる。
多分、来年収益を上げて、
社員の給料を上げる
株主(零細ならオーナー社長)に利益を還元する、
という視点だったら、経験者が第一優先だ。
でも、効率化というのは始まると共に業界の老朽化が始まっているといえる。
老朽化が始まった業界では、
業界TOP3以外は正直厳しい。
TOP3に入れたとしても、
効率化が始まった世界では年功序列が当然の経営になる。
仕事が出来るといっても若造にたやすくチャンスを渡せない。
その構造が出来上がって目先の収益を守りつつ、
イノベーションを期待するなら、
「仕事はこうあるべき」が強すぎる
保守的になってしまった経験者よりも、
サラリーマン社会でよく言われる「最近の若者は、、、、」のような
新人類を常に入れる方が可能性を秘めているのだろう。
TOP3に入れなかった事業者は、
特にうちのような零細企業は、
朝令暮改的に、昨日言った事をひっくり返す勇気が必要なのかもしれない。